セルフマネジメントでQOL向上!メンタルヘルス不調者が抱えやすい悩みを調査した結果…
セルフマネジメントとは、体調などを自分で律し、仕事や日常生活のタスクやスケジュールなどを効果的に管理することです。谷口 清弥教授(四條畷学園大学看護学部)が、うつ・不安障害などのメンタルヘルス不調者148 名を対象にアンケート調査を実施した結果、メンタルヘルス不調者が抱える不安や苦痛・困難といった困りごとをまとめると、「症状の苦痛と病状の理解困難」「具体的な療養行動の判断に迷う」「服薬継続の不安と抵抗感」「思うように生活できないつらさ」「病気の受容困難とサポート不足」の5つに大別されることがわかったそうです。そしてこれらの困りごとが,クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を低下させ,回復への希望や活動意欲を阻害していると考えられます。
セルフマネジメント力を高めれば「自分らしくよりよい人生を送る」ことができる!が…
セルフマネジメントによって、病気とうまくつき合い,生活を維持し,希望を持つことでその人が「自分らしくよりよい人生を送る」ことができると言われています。しかし,精神疾患をもつ人の多くは心理的なストレスに敏感なため、セルフマネジメントを行うことが難しいケースが多く見られます。加えて、今回の調査でわかった5つの困りごとを含めて考えると、メンタルヘルス不調者自身が病気の状態がつかめず、服薬への負担感があることで「病気とうまくつき合う」ことを、日々の行動判断に迷い自分に必要な選択ができないことが「生活を維持すること」の妨げとなっているようです。そしてその結果,病気のことを理解してサポートしてくれる人・支援機関にたどり着けず、「希望を持つこと」 を妨げている現状があるようです。
「相談する」が一番難しい
適切な相談の窓口にたどり着かせることは重要ですが、もうひとつ、メンタルヘルス不調者にはその窓口で「相談する」能力が求められるのではないでしょうか。「相談する」能力はアサーショントレーニング等コミュニケーショントレーニングによって向上することが多くの研究結果から示唆されています。それらを上手く利用し、「相談する」能力を上げ、支援者に自身の現状と悩みについて一つでも多くの情報を渡すことで、より適切なサポートを受けることができれば、セルフマネジメント力を高めて「自分らしくよりよい人生を送る」ことができるのではないでしょうか。
引用
谷口/日本保健医療行動科学会雑誌 31(1), 2016 48-56
服薬への負担感があることで「病気とうまくつき合う」ことを、日々の行動判断に迷い自分に必要な選択ができないことが「生活を維持すること」の妨げとなっているようです。=これは薬を服用することにより何らかの副作用が必ず生じます。そして健常者の方と同じように生活が同じように上手くいかないことを意味していると思います。相談するという事に関しては自分が何に関して悩んでいるのかを明確に説明できないと相手には伝わらないですし、素人に説明して答えられることと専門的な知識がなければ答えられないこともあります。それを精神科医に伝えるのか、臨床心理士に伝えるのか、カウンセラーに伝えるのか、周囲の家族や友人や知人に伝えるのか。判断の見極めになると思います。一人で抱え込まず自分の気持ちをさらけ出す勇気があるかないかで自分らしく生きれるか生きれないかも決まるのではないかとこの文章を拝読して思いました。