強度行動障害研修(実践編)を受けて~正しい記録の取り方~N.M

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強度行動障害研修基礎研修を受けて感じたこと

withコロナ時代の研修という事で、充分な感染防止対策の元で行われました。

強度行動障害研修基礎研修で学んだことは、行動障害の背景には、見えている部分だけでなく隠れている部分を見ることで全体像を理解することに繋がります。

言葉だけで伝えるより本人が理解できる形で支援するほうが相手に伝わりやすく、利用者本人が一番困っている事を理解することが大切です。

氷山モデルを用いて「障害特性」と「環境要因」を整理し、課題となっている要因を明らかにすることが根拠に基づいた適切な支援の第一歩になり、環境を整備することで本人の行動上の問題が起こりにくくなり、情緒が安定し穏やかな日々の生活が送れるようになります。

前回の強度行動障害基礎研修でも様々な事を学び、感じる事が出来ましたがそれを踏まえて今回実践研修の中で特に参考になった事をまとめてみました。

・憶測で判断しない

「○○さんはこの作業が苦手なので」「○○さんはこの作業が得意なので」

この判断は注意が必要です。

指導員や職員の個人的な感覚に近く本当はどうなのかがしっかりと分からないまま支援が進んでいったしまう恐れがあるからです。

そこには、どの位その利用者さんが成長できたのか。苦手であればどのくらい克服出来たのか。などの記録を取る事が出来ずに改善もおおまかに判断したもの頼みになってしまうからです。

「例えば○○さんという利用者さんがAという作業を行った場合は10分で○○個の作業が現在では出来ています。しかし、始めた当初の3ヶ月前は今の10分の1の作業量、作業スピードでした。」

という記録があると○○さんは3ヶ月の期間でこれだけの成長をすることが出来、その支援や作業に対してのアドバイスはこういった物でしたなどと数字やデータを元に判断する事が出来、今後別の利用者さんに対して同じ作業をアドバイスする事があれば非常に有効的な資料となります。

このことから重要な事への判断や日々の支援の方法などは、資料やデータが非常に大切になります。

また、作業の成長を見ていく以外にも日々の記録は非常に大切だという事を再認識しました。

・実施した記録が重要

憶測で判断しない事、日々の記録や資料が役に立つ場面は利用者さんの様子がいつもと違ったり、何かトラブルになってしまった時に特に多いかと思います。

次のメモをご覧ください。

悪い記録の例

時間活動本人の行動支援者メモ
16:00おやつおやつを食べるときに嬉しそうにしていたAさんがうれしそうにしていたのでいつものおやつを渡しました。 
17:00作業AAさんの苦手な作業でしたが大丈夫そうでしたのでそっとしておきました特にありません 
18:00休憩いつもの場所でゆっくりとしていました特にありません 

時間にそって利用者さんの様子を記入しているように見えますが一部、記入者の憶測が入っており、後から見た支援者に正しい情報が伝わらない場合があります。これでは、支援者が得られる情報が少なく「いつもの場所」「いつものおやつ」など特定の人しかわからない情報も多くあります。これでは記録の効果や役割が半減してしまいます。

では、一方こちらをご覧ください。

良い記録の例

日付活動本人の行動支援者メモ
16:00おやつスタッフルームにておやつ、飲み物をもらう本人におやつ、飲み物を渡す。 
17:00作業A3段ボックスにある作業を上からおこなう。 1時間で約10個時間によって量を調節する。 
18:00休憩食堂に移動スムーズに移動できない場合は補助を行う。 

記録の書き方は、事実と結果を記入すると正しい情報が伝達されます。

時間ごとにイベント・事実・結果とシンプルにわかりやすく、後から様々な情報を追いやすく支援の改善や変更する際にも大変役に立つ情報です。

また、何か起きた時や目に見える成果が出た面を記入しがちですが、特にトラブルなく平穏に過ごせた、ご本人の感情の起伏が少なかったなどの情報も必要な情報ですので記載していく事が大切です。

支援手順書を元に現場で支援を実施するときには、支援手順書に沿って支援する事が大切です。本人の特性に合わせた統一した支援を行う事が大切と学びました。

【強度行動障害研修を受けた感想・まとめ】

より良い支援手順書を作成するにあたって日々の支援の記録はとても重要です。

支援者は、個人の憶測や予想で記録するのではなく、客観的な情報を集めて、仮説に基づき支援を考えることが重要です。
実際に支援を実施し、結果を振り返り、成果を確認しアセスメントを深めて少しずつ支援のズレを無くして作り上げていく事が大切です。

強度行動障害研修の基礎、応用を受講させていただき、とても感謝しています。支援のベースになるものと実際の具体的な支援の流れを学ぶ事が出来ました。これからの支援に役立てていきたいと思います。ありがとうございました。

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