令和2年度 鹿児島県強度行動障害支援者養成研修~実践研修~を受けて D.Y

先日、鹿児島県民交流センターに於いて2日間、鹿児島市知的障害施設連絡協議会の主催による、
鹿児島県強度行動障害支援者養成研修~実践研修~が開催され参加してきました。

25名の参加者で、基礎研修時同様に一人一人の間隔を大きく開け、体温検温、消毒などコロナウィルス対策を施した万全の態勢で行われました。

“強度行動障害の支援”を組み立てる為の基本的な流れを把握していく

という目的で、主に自閉症の方々の「強み」「弱み」などを知り、基礎研修での内容を踏まえ、グループに分かれ演習を多く取り入れ、より実践的な内容となりました。

おおまかな研修内容としまして、

◆支援を組み立てるための基本的な流れの確認

◆アセスメントの具体的な方法

◆支援手順書の作成方法

◆記録の方法と支援手順書の修正方法

◆組織として取り組むことの重要性を学ぶ

以上の項目を行いました。

 


—–①強度行動障害の理解—–

まず、支援を提供する際に必要なものとして

■気持ち(人を助けたい、人の力になりたい)

■気力・体力(体調コントロール、腰痛等の予防)

■知識(制度、障害の特性)

■技術(PDCAサイクル、氷山モデルシート)

これらの4つの項目が挙げられ、強度行動障害とは、もともとの障害ではなく、その人の状態のことを指し、「適切な行動を教えらず」、「周囲が誤った対応を繰り返していく」と行動が激しくなり「強度行動障害の状態」になる、というのを再確認しました。

自閉症の人たちの物事のとらえ方に合わせた支援を行うことで、自閉症の人たちは適切に学ぶことができ、強度行動障害という状況に陥ることなくよりよい生活を送ることができる。 そのためにも自閉症の人たちの特性を学び、支援の基盤に置く必要があります。

“特性を知る”の一例として、

話し言葉の理解が難しい、一度にたくさんの事を理解するのが難しい、抽象的であいまいな表現の理解が難しいという特性がありますが、例えば

「ちょっと待っていてください」 → “ちょっと”ではなく具体的に○分

「ちゃんとしてください」 → “ちゃんと”ではなく具体的に伝える

これらのように、分かりにくい情報や生きにくい環境で暮らしている人たちなので、一人一人に分かりやすい形で届けたり整理したりする必要があります。(合理的配慮)

ここで大切になってくるのが、“統一した支援”です。

事業所の中、生活の場面では複数の職員・関係者が関わります。そこで情報共有や連携が必要となりますがその方法として、

・日頃からの頻繁なやりとり・個別の支援会議・サービス等利用計画・個別支援計画・支援手順書

等を活用して統一した支援を行っていきます。

「本人ニーズ」に基づく支援計画として、正しい状態像をつかみながら共有していくことで支援のベースが整っていくことが分かり、支援手順書等の作成が如何に大事かということが分かりました。

 


—–②アセスメントの方法—–

アセスメント → 評価・実態把握

基本的なアセスメント情報として「医学的診断」「障害支援区分」「療育手帳」などがありますが、実際の支援には、支援の内容に直結する詳しい情報が必要となります。そのためには“日常の観察やインタビューによって得られる情報”がより重要となってきます。それらを、“基本情報シート”“行動チェックシート”“特性確認シート”“環境確認シート”“強み確認シート”などに記していくことにより、その人に合った支援に繋がっていきます。

どういったポイントを注視したらよいか、記入共有したらよいかを学び一人一人オリジナルの支援について知ることができました。

 


—–③支援手順書の作成—–

そして一人の方を例にして、実際に“氷山モデル”や、“活動手順”を完成させながら支援手順書を作成していきました。始めは個人で作成し、その後グループワークとして5名のグループでそれぞれの意見を出しながら作成していきました。

普段、グループホームで生活介護をされている方や行動援護・移動支援などを行っていらっしゃる他の参加者の方々との意見交換を行い様々な角度からの意見を伺うことができとても勉強になり、場所や職員が変わっても変わらない支援を続けていく大事さを学びました。



—–④記録の分析と支援手順書の修正—–

作成された支援手順書をもとに支援を行っていきますが、支援結果を振り返るプロセスの中で成果を確認しアセスメントを深め、支援手順書の修正を行っていきます。

そこで重要になってくるのが、支援手順書の内容と実際の行動歴を照らし合わせ確認を行っていくことです。
自立して取り組める・期待した成果が出ている【→ 支援継続。生活の中で広げていく】

少し手助けが必要・十分ではないが成果がでている【→ 支援内容を分析し、より効果的な支援を検討する。より自立できるよう支援手順書を手直しする】

全くできない。成果が出ない【→ 支援そのものを見直す】

これら支援の計画を立て、実践し修正していく。様々な立場の方からの記録によって、計画→実践→修正を繰り返し、その人にあった支援内容にたどり着く、といった流れを学び他の関係事業所とのヨコの繋がりの大事さも実感しました。



—–⑤組織として取り組むことの重要性を学ぶ—–

最後に利用者を取り囲む環境に携わるメンバー(組織)の重要性として、

■管理者・リーダーの役割・責務

■障害者総合支援法の理念・国民の責務

■サービス事業者の責務

これらの内容を確認し、【対利用者への虐待】【職場のストレス】【医療現場からの声】と各方面の“想い”を参加者の皆さんと共有し閉会しました。

まとめとしまして、先月の“基礎研修”で学んだことを再確認しつつ、支援者に対する支援の在り方、チームとしての支援、これらをイメージしつつ支援の手順を考え文章化する。また、支援結果に合わせて支援及び手順の修正を行っていく。この一連の流れを学び、体験させて頂き、支援者からの目線ではなく利用者の目線・立場でよりよい支援を日々模索し実践していく大事さを知りました。

一人一人に寄り添い、特性を把握し、支援に活かしていく

この気持ちを胸に今後も励んでいきたいと思います。

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