令和2年度 精神障がい者ピアサポーター養成講座を受講してきました_Y.Y

今回、私が受講したのは『ピアサポーター』になるための講座です。
ピアサポーターとは、どういうものか?どうしたらなれるのか?どのような活動をしているか?の紹介です。
興味のある方は、参考にしてください。

Contents

1.精神障がい者ピアサポーターって何?

1-1. ピアとは

・同じ病気や障害を持つ仲間
・同じ経験しているので、共感しやすい
・Aさんの経験がBさんの参考になる
・ピアだからこそ当事者の求めていることが分かる
・相談や支援を受ける側も、安心でき、気安く頼める

人生において予期せぬ精神疾患とは、突然、目の前に見たこともない高さの山に登山経験も無く一人で登りなさいと言われているようなものです。たった一人で精神疾患に向き合おうとしたとき、何からしたらいいかわかりません。
ピアは、ロールモデルとして自分の姿をさらし、これまでと違う人生の景色があることを他のピアに見せてあげられます。
同じような精神疾患を経験しているからこそ、その経験者であるピアから「私はこんな失敗を繰り返した」「私はこのようにやってきた」「こんな工夫した」「こうすれば上手くいった」「こうしても上手くいかなかった」というリカバリーストーリーを共有すること、活動をピアと共にすることで希望を継承していくのです。

1-2. ピアとつく言葉の意味

・ピア:仲間、対等、同等のもの、同僚、同輩
・ピアサポート:仲間同士支えあいの営み全て
・ピアスタッフ:自分の人生観を活かし事業所等で職員として働き、利用者のリカバリーに寄与する人
・ピアサポーター:退院推進事業に患者の同行支援等をする。ピアスタッフとほぼ同意
・ピアカウンセラー:ピアカウンセリングの基本姿勢を身につけて、電話相談や今後個別相談を実施する人。
・ピアヘルパー:精神障がい者による精神障がい者のためのホームヘルプサービス
・(認定)ピアスペシャリスト:アメリカ各州知事認定資格。ピアサポート専門員のモデル
・ピアサポート専門員:平成25年から行っている、基礎、専門研修、フォローアップ研修を修了した人

1-3. ピアサポーターの役割

・支援対象者(ピア)に情報提供する
・所属組織において医師その他のメンタルヘルスの専門家に対して別の視点からの参考となる情報源になる
・支援対象者(ピア)を理解し、支える
・保護するのではなく、パートナーシップを通じて(対等の関係で)問題解、決意思決定、ゴール設定を支援対象者(ピア)が自分でできるように支える
・ロールモデルとしての存在
・当事者の立場にあることに率直で、誠実になれること
・当事者と他のスタッフとのコミュニケーションを促すのを助ける

1-4. ピアサポーターになるための前提条件

・精神疾患を持っている(できれば支援を受ける人と同じ病気や経験がある)
・精神疾患の経験を活かして(社会人として)活動する意欲と能力が認められる人
・精神疾患を自己管理し、自分の健康を守れる人
・人を助けたいという願いを持っている人
・職場のルールを守れる人
・仕事上で決められたこと以外をするとき、あるいは判断に迷った時などいつどの時点でチームスタッフに相談するべきか判断力を持っている人
・業務として支援している当事者との関わりにおいて、事業管理者もしくはチームリーダーの助言に従うことを条件とし、それに納得できる人
・事業所の就業規則及び従業員ハンドブック、かつ労働法に規定されている倫理的法的ガイドラインに従うことを約束できる人

1-5. ピアサポーターにはどうしたらなれるの?

・年に一回開催される『精神障がい者ピアサポーター養成講座(2日間)』を受講する必要があります。
・さらに、『ピアサポーター訓練生』になるには、鹿児島市、相談支援事業所の面接を受けて合格する必要があります。
・この『ピアサポーター訓練生』になれれば、約半年間実際の現場で退院を希望する患者に対する地域移行支援に携わることになります。

2.ピアサポーター訓練生の活動内容

『ピアサポーター訓練生』の活動内容は大きく分けて次の4つがあります。

2-1. リカバリーストーリーの発表

病院内などで自分のリカバリーストーリー(体験)を話します。リカバリーストーリーは支援の対象となる人に希望を与え、自分が精神疾患を患ったという同じような経験からくる困難や苦労に直面し、経験を分かち合うことで、信頼関係を築くことに大きな力を持っています。

2-2. 退院支援

地域移行支援を受ける退院を希望する患者に対し、実際に面会し話を聴いたり、退院前の外出に同行したり、退院後の生活の準備を一緒に行います。さらに、退院後は地域定着支援で定期的に訪問します。

2-3. ピアサポーター交流会に参加(自由参加)

月一回開催されるピアサポーター養成講座を修了した人たちの交流の場です。
今年のテーマは「ピアサポーターを生きる」と題して、ピアサポーターたちが熱く語っている場です。

2-4. 地域移行推進会議への出席

毎月1回鹿児島市精神保健交流センター(はーとぱーく)にて開催される鹿児島市地域移行推進会議に参加します。この会議は、鹿児島市の各地域移行推進事業者が集まり、地域移行支援を申請した長期入院患者の状況の報告やピアサポーター訓練生の活動状況を報告して情報を共有する場になっています。

3.活動しての感想

3-1. 新型コロナの影響

本年度の活動は新型コロナの影響を受けて昨年度とは全く違った活動内容です。鹿児島市のほとんどの精神科病院が通院患者以外の来院を断っている状況でほぼ病院内に入れず、本来であればすでにリカバリーストーリーを発表するなどの活動しているのですが全くできていないのが現状です。

3-2. Zoomでの対応

今後はZoomを使用してリモートで発表会を開催する予定になっているのですが、先行きが不透明なこともあり未だ日程など決まっていないのが現状です。

3-3. 一緒に活動している仲間の存在

今年度、ピアサポーター訓練生になったのは合計で4名です。私が所属するところには男性3名が配属されて、毎週金曜日の14:00から勉強会やそれぞれのリカバリーストーリーを聞いてはいろいろと話しながら楽しい時間を過ごしています。時にはとっても真剣な話になりみんなで意見を出し合って解決の糸口を見つけていくような時間になっていて、私にとってこの仲間たちとの時間がとても貴重でかけがえのない時間になっています。

4.理想のピアサポーター像

私の理想とするピアサポーター像は「話しをしたくなるような存在」になれたらいいと思います。話を聴いてくれるだけで救われることがあることを私は身をもって経験しています。私はサービス管理責任者の資格を取りサービスを受ける側から提供する側になりました。そして今度は私が誰かの話を聴いて行く番だと思っています。

5.ピアサポーター訓練生の先にあるもの

ピアサポーター訓練生の活動は3月までです。その後はまだ決まっていません。しかし、目標にしているものがあります。それは、「ピアサポート専門員」という資格です。この「ピアサポート専門員」はピアスペシャリストとして新たな専門職として位置づけられているものです。

6.まとめ

私がピアサポーターになろうと思ったきっかけを与えてくれたのは通院先の心理士でした。私はもともと介護職として対人援助の仕事についていたことがあり、その時の味わった対人援助の仕事のやりがいというものをどこか捨てきれず、また「人」に関わる仕事ができればとずっと考えていた時にピアサポーターの存在を教えていただき、「これだ!」と思ったのを覚えています。

今年度は運悪く新型コロナの影響を受けてのピアサポーター訓練生の活動も大きく制限されています。その中でも貴重な時間を経験できていることへの喜びは大きいものになっていて、私にとって仕事以外で社会とのつながりを感じられるまたとない時間を経験させてもらっています。活動期間もあと少しですが、感染対策を万全にし、小さな足跡を確実に刻めるように活動していきたいと思います。

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