重い障害になったら障害年金を請求しましょう

私は、多くの方の障害年金の請求に携わってきましたが、「年金は65歳になってから受け取るもので自分には関係ない」「年金の手続きは難しい」と請求をあきらめている方を多く見てきました。
障害年金は、何も行動を起こさなければ受給できません。重たい障害になってしまったら、障害年金のことを思い出してください。請求が遅れるほど、受給額が少なくなるので、早めの相談申請をお勧めします。
「障害」とは、糖尿病による人工透析、脳出血による麻痺、うつ病などの精神疾患、知的障害、難病などにより「仕事や日常生活が不自由な状態」をいいます。障害手帳の所有の有無や等級に関係ありません。年金法に定められた等級によります。
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障害年金を受給できる条件は、原則次の3つです。(例外もあります)
1.初診日が65歳未満であること
まず、初めて病院に行った日(初診日)と医療機関を調べ、初診日が65歳未満であることが必要です。初診日は医療機関の証明が必要ですが、医療機関が倒産していたり、カルテが無いこともあります。このような時は、客観的に証明できる書類により認められることもあります。
2.初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)に障害の程度が1級か2級(厚生年金は1級から3級)に該当している
次に初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)に障害の程度が1級か2級(厚生年金は1級から3級)に該当している必要があります。障害の程度の判定は、診断書で行われます。なお障害認定日には障害の程度が該当しなくても、その後程度が重くなり65歳になる前までに申請すれば受給できることがあります。
3.初診日までに一定期間保険料を納付している
最後に「初診日までに一定期間保険料を納付している」ことが必要です。
具体的には、次のどちらかに該当すれば大丈夫です。
- 初診日の前々月までの期間に保険料を3分の2以上納付していること。
- 初診日の前々月までの1年間に保険料を納付していることです。
「保険料を納付している期間」に、国民年金を全額免除や納付猶予の期間、厚生年金に加入している期間、生活保護を受給している期間等も含まれます。
ですから未納期間があっても条件をクリアできることもありますので、請求をあきらめないでください。
障害年金の受領額
障害年金は、初診日に加入していたときの年金制度で受領額が異なります。
初診日に国民年金に加入していれば、1級2級の障害基礎年金が支給されます。
厚生年金に加入していれば、障害基礎年金に厚生年金が上乗せされます。
等級 | 初診日が国民年金 | 初診日が厚生年金 |
1級 | 障害基礎年金(2級の額×1.25) +子の加算 | 1級の障害基礎年金 +障害厚生年金 +子の加算 +配偶者の加算 |
2級 | 障害基礎年金 +子の加算 | 2級の障害基礎年金 +障害厚生年金 +子の加算 +配偶者の加算 |
3級 | 支給なし | 障害厚生年金 |
障害年金だけで生活に困った時は
2級の障害基礎年金の年額は780,100円で、とても生活できる金額ではありません。活用できる財産や預貯金もなく、親族からの援助も受けられない時は生活保護を申請することができます。生活保護を受けるためにはお住いの福祉事務所(市役所等)に申請しなければなりません。福祉事務所での相談は無料ですし、プライバシーも保護されていますので、生活に困ったときは一人で悩んでないで相談しましょう。
障害のある皆さん、あなたの味方になってくれる人がいるはずです。障害年金のことや生活保護のことに少しでも興味を持たれましら行動に移しましょう。