【アート企画・イベント】メタバースでのイラスト販売という試み~NFT証明書という技術~【アートの輪】

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メタバースで絵を売る~NFT証明書の活用~

 今回カインド事務所では、障がいのある方のためのイラスト交流ギャラリー「アートの輪」を運営する「障がい者アート協会」と「日本メタバース協会」が協力して開催されたイベント【「ディセントラランド」NFT+原画販売】に参加しました!イベントの概要としては、アートの輪で作品を募り、その中から選出されたいくつかの作品をメタバース空間「ディセントラランド」のスペースで販売するという試みです!既ににたくさんの作品が投稿されており、各々の思いを載せた色鮮やかな作品であふれています。

イベントに応募された作品集ページURL https://artnowa.org/artist/151445

(障がいがある方が応募対象となるイベントです。応募期限は1/20(金)までで、現在は応募できません)

 今回が第一回目の初の試みという事もあり、作品は色鉛筆や絵の具によるアナログ作品のみが対象となりました。普段から「アートの輪」に作品を投稿することはいつでもでき、その際はアナログ、デジタル問わず作品を投稿することができます。カインド事務所では利用者の方に自由参加としてイベントを紹介し、興味があるという方に作品を制作していただきました!応募期間は1/4 (水)から1/20(金)という短い期間での中ででしたが、作品を制作してくださった利用者の方には感謝です!ありがとうございました!カインド事務所では今回のイベントを機に、普段からのアートの輪のギャラリーで作品を投稿していくことを推奨していきます!利用者が多くの他アーティストや作品に触れ、交流するきっかけとなってくれれば幸いです。

応募した作品の紹介                  

 利用者の方が投稿した作品を2点紹介したいと思います!

【1枚目】

有村 菊乃 (ありむら きくの)作「天使がひねくれ者になってしまう瞬間」                                         

作者コメント

 天使のように純粋な子ほど、傷ついた時に、やわらかい分、深い傷を負います。どこのだれでも多かれ少なかれ傷ついているものですが、素直であればあるほど、その傷を真摯に受けとめ、多くはひねくれ者で意地悪になってしまいます。みんながみんなではありませんが。子供が深い傷を負ってしまう原因は、運が悪ければ、あちらこちらにあります。周りの子、周りの大人、はたまた先生や親など。そんなことを考えず、過ごせる子もいますが、繊細な子ほどたくさんの傷を負い世の中に順応していくため自ら天使でいることを諦めてしまいます。そんな絵です。

 Gペン、漫画用のインク、色鉛筆、油性ボールペンを使って作成されたイラストです!

 純粋故に真正面から痛みを受け止めてしまう健気さ、しかしその健気さが人一倍強い心の摩耗と疲弊を感じさせてしまう…これは私がこの絵を見て感じた事なのですが、元々純粋で真面目な子だからより強く傷つく、いわゆる「損」が発生してしまうという現実に対してのやるせなさ、皮肉さ、どこか乾いてしまった心という、目に見えない部分も起因した、どこか報われないという心情を私は感じました。

【2枚目】

有村 菊乃 (ありむら きくの)作「強自己顕示欲、強欲、他煩悩」

作者コメント 

 こういうアートには、自分の内に秘めるような神秘なものを描きたかったのですが、残念ながら筆を走らせたら、自分の一番強い欲求が出てしまいました。こういうものにほど、一番正直な気持ちが出てしまいますね。色を塗るときの大雑把さも。清らかなアート作品を描くには、まだ修業が足りませんが、これも私の一つの主張として、伝われば幸いです。

画材は漫画用のインクを使ったそうです!

 私も絵を日頃から描いておりますが、抽象的なイラストを、本当に自分の納得いくように作り上げるという事はとても難しい事です。有村さん自身も「神秘性、清らか」を事前にテーマとして設けたうえで描くのですが、そのテーマを的確に表現し、満足のいくように自分の物をぶつけるには、全ての描写で完璧にしなければなりません。どのような形、シルエットにするか、色の数は、色の明るさ、鮮やかさは、塗る際の筆の幅、線幅は、カクカクしてるか、丸っぽいか、遠目から見て何に見えるかなどなど…自分の満足が行く絵を描くという事はそれだけハードルが高いという事です。有村さん自身も神秘さよりも私欲が出てしまったとコメントしており、やはり難しい事というのがわかります。ちなみに私はこの絵が教会などにある「ステンドグラス」のように見えました。インクが濃く滲んでいる部分のガラスの外は曇っているように感じ、雨の降る前兆、そこから来る温みのようなものを感じました。

↓今回紹介した絵のURです!

天使がひねくれ者になってしまう瞬間 https://artnowa.org/art/154221

今日自己顕示欲、強欲、他煩悩 https://artnowa.org/art/154197                                       

NFT証明書ってなに?【デジタル資産の必須証明書】

 今回のイベントの名前に「NFT証明書」という単語が入っています。これは「Non Fungible Token」(非代替性トークン)といって、これは「デジタルの媒体を介した作品」や「デジタル上で価値のある仮想通貨」の著作権や所有権、真正性を証明するために作品、資産に紐づけられる証明書です。デジタルで作品を売買する時代ではありますが、どうしても課題となるのはデジタル作品故のコピー問題です。イラストを例にするとわかりやすいですが、イラストを画像として販売するウェブページに置いたとしても、画像を右クリックして「名前を付けて保存」でお金をかけることなく複製されてしまいます。NFT証明書が付けられたデジタル作品は、ウェブページ上からの画像のコピーは防げないものの、そこに添付されたNFT証明書まではコピーされません。これにより作品やデータが自身の物であることが守られるというわけです。でも結局コピー出来てしまうのならNFT証明書は意味をなさないのでは?という意見も出てくるでしょう。しかしNFT証明書は「デジタルデータ情報の移動や、今までの転売回数」の記録ができ、さらに「転売された場合の報酬の還元システム」もあり、やはり作品の一点物、価値、権利を守るための機能は優れております。

 それなら自分の作品やデータにもNFT証明書をくっつけて販売しよう!と思っても、一見小難しい物に見え、発行手続きもややこしい物のように感じますが、証明書の発行、販売は「NFTマーケットプレイス」というサービスで簡単に発行と販売ができ(もっともNFT証明の発行と販売は大体同じサービス内で行うのが普通らしい)、費用はNFTマーケットプレイスによって変わるため一概にいくらとは言えませんが(手数料は仮想通貨で支払い、大体はそのサービス内での販売額の数パーセント+手数料の様です)初期費用のみが無料といったサービスもある「NFT作成、出品代行サービス」も存在し、その仕組みやノウハウが整いつつあります。

芸術の幅を広げる・守る技術

 NFTの仕組みも、これからさらに進化していくことが予想されます。デジタルで絵を売ること、発信することは世界中のどこでもできますが、デジタル故の、そもそもの仕組み的観点からの難しさがなくなれば、誰もが心置きなく自己を表現できます。絵を描くという事は自分の中にあるものを吐き出すことでもあり、それが生きがいという人も少なくありません。カインド事務所でも今後のIT、科学分野をリサーチし、仕組みを取り入れていきます!今後もアートの輪に投稿された利用者の作品は定期的にブログで紹介していく予定です!つぎのブログでお会いしましょう!

文章 影井

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