弾けたらいいなと思う楽器 【鹿児島市A型事業所】
私の人生のト短調がなりやまない。
変ロ長調に変わりゆくようで変われない。
もどかしく弾くように次の音、その次を生き急ぐ。
けれど血をにじませた指に心が追い付かない。
弾くのに溺れる。
他の声が大きく感じる。
今も、私の高音が心臓を揺らしている。
なのに最高点は誰にも届かず、最低点は人より浮いてしまう。
この憂いを何にぶつければいい。
私は今、嘆いてる。
才と称えるには、あまりにも釣り合わない孤独に。
旋律を奏でる度、手のひらは血でにじんでゆく。
それでも降ってくる音は、止まってはくれない。
音を追いかける。
見えてないはずの心をつかもうとする。
次の音、その次がこぼれないように。
正確に弾いていたはずの旋律は、どんどんずれていく。
急げば生き急ぐほど夜に溺れ、他のようにうたえない。
溺れた海底から壁のない壁に向かって音をぶつける。
浮かぶ月にまで届くように、高音を燃やす。
火の粉が海の底で淡々と燃え上がる。
「他の声が聞こえない。
私は狂ったように弾き続ける。」
ト短調から変ロ長調にかわるはずの楽譜は、ハ長調に変わっていた。
人のような人生は、私には歩めない。
あなたも含めて人だと、そういわれようと、それが優しさだとわかっていても、もう素直に受け取ることはできなかった。
皆が気にも留めない言葉を拾った。
皆が置いていくような記憶を拾った。
この海で。
それはすべて、私の血を含んだ涙。
壊れて行った先が、このうたなら。
これは私が生んだメロディ。
海底から鳴る52Hzを探して。
ハ長調に燃やした心を。
「ピアノ」
私の弾けたらいいなと思う楽器であるピアノをイメージして、短くうたうような、物語のようなものを書いてみました。
Blogとは少し違うかもしれませんが、こういった試みもいいかなと思います。
一度くらいはありのままの私の言葉を誰かに聴いてみて欲しかったから。
ピアノは寝るときも、歩くときもいつも聴いていて大好きです。
このようになにか文章を書くときも、私はピアノの音に触れていることが多いです。
今回も、久石譲さんの「人生のメリーゴーランド」を聴きながら執筆しています。
一番好きな曲は、坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」です。
ピアノを弾くように私の人生は、繊細で必死にもがいて、それでも最後にはちゃんと弾き終えたいと思います。
苦しみや葛藤の中でも人であろうともがくさまが、伝われば幸いです。
難しく長いうたになりましたが、矛盾していても私は私が人であることを最後まで諦めたくないのです。
《文:はる》
