利用者から職員登用制度で「定着職員」になった私の近況と登用制度の解説【鹿児島市A型事業所】
お久しぶりです。
カインドの利用者ブログでご無沙汰したのには理由がありまして、実は私、この春、A型事業所の利用者から6カ月間の期限付で「定着職員」になったからなんです。
「定着職員」といわれても、イメージがなかなかわかないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
そこできょうは、私の普段の生活をお伝えしながら、この「定着職員」について知っていただけるようお伝えしていきたいと思います。
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職員登用制度で、定着職員に
「定着職員」とは、利用者から職員へとステップアップする職員登用制度(スタッフ登用)のことです。カインドでは、この制度を利用したメンバーを「定着職員」と呼んでいます。
そして、カインドに限らず就労継続支援A型事業所では、利用者が「このままここで、職員として働いてほしい」と持ち掛けられるケースがあります。
最近は、この「職員登用制度(スタッフ登用)」を導入する事業所も増えているようです。
「定着職員」になる時に変わるもの
利用者から「定着職員」になる際、具体的には次のような変化を伴います。
◆契約の切り替え:福祉サービスの受給者証を用いた「利用契約」を終了し、一般の労働者としての「雇用契約(正社員または契約社員)」を新たに結びます。
◆業務範囲の拡大:他の利用者への作業指導、検品作業の責任者、納品管理、日報の集計などの事務作業を行います。
◆役割の変化:サービスを受ける側から提供する側へ。時には、生活支援員や職業指導員の補助として、他の利用者の相談に乗ることもあります。
このように、利用者から職員になると、単なる「作業の担い手」から「現場を回す側」へと役割が大きく変わります。
実際に、これまで私が「定着職員」として行った業務は、
①ブログ作成
これまで一度も触れたことがなかったWordPress(ワードプレス)を使用した業務は、私の大きな武器になりつつあります。
作業の流れは以下のようになります。
・Googleドキュメントでの執筆: まずは文章を構成する。
・AIを活用したSEO対策: 現代のWEBライティングに不可欠な知識を実践する。
・WordPressへの入稿と装飾: 文字の書式を整え、見栄えを追求する。
・画像選定と配置: 文章のイメージに合った視覚情報を補う。
これらの工程を一つひとつ自分で行うことは、単なる作業ではなく、社会で必要とされる「知識・スキル」へと昇華しています。
このほかに、
②他の利用者様へのブログテーマ作成や感想のフィードバック。
③職員会議への参加。
④朝礼・終礼の仕切り、小休憩の声掛け
など、支援を受けながらこのような作業に半年間従事して、一般就労やスタッフへの登用を目指すことになります。
雇用側に求められる対応
ただ、事業所側は単に「仕事ができるから」という理由だけで登用してはいけません。以下の誠実な対応が不可欠です。
ここからは、「定着職員」を配置した際、 雇用側に求められる対応について述べていきたいと思います。
◆合理的配慮の継続:職員になったからといって、障害が消えるわけではありません。休憩の取り方や通院への理解など、雇用形態が変わっても必要な配慮の継続が求められます。
◆明確な評価基準:どのようなスキルがあれば職員になれるのか、昇給はどうなるのか。不透明な登用は他の利用者の不信感を招くため、ルール化が必要です。
◆メンタルケア:立場が変わることで、昨日までの仲間(利用者)から「あいつだけ特別だ」と距離を置かれる孤独感が生じることがあります。上司による手厚いフォローが欠かせません。
制度利用後の「進路と可能性」
職員登用はゴールではなく、新しいキャリアのスタートラインです。
◆福祉専門職への道:実務経験を積み、「サービス管理責任者」や「社会福祉士」などの資格取得を目指す道が開けます。自身の経験を活かした「当事者スタッフ」は、他の利用者にとって大きな希望となります。
◆一般企業への「真の就労」:A型事業所の職員としてマネジメントを経験した実績は、一般企業の管理部門や人事部門でも高く評価されます。
◆ピアサポーターとしての活躍:同じ悩みを持つ人を支える専門職として、行政や相談支援事業所へ羽ばたくケースもあります。
潜む「問題点」と注意点
いいことばかりしかないように見える職員登用制度ですが、もちろん課題もあります。
◆「安い労働力」としての利用:一部では、本来の指導員を雇うコストを抑えるために、利用者を格安の賃金で職員扱いにし、過重労働をさせるケースが懸念されています。
◆福祉サービスの喪失:職員になると「利用者」ではなくなるため、福祉的な個別支援計画(個別支援)がなくなります。自分自身で体調管理やタスク管理を行う比重が増え、パンクしてしまうリスクがあります。
◆「中ぶらりん」な立場:利用者でもなく、プロの福祉職でもないという曖昧な立ち位置に悩み、精神的に不安定になる「昇進うつ」のような状態に陥る人もいます。
実際に、現場で支援を受ける側として「職員になったから終わり」という空気を感じる場面もあり、危惧してはいます。
また、前述したように利用者とスタッフという「微妙な位置関係」による葛藤もあります。
ここでいう「微妙な位置関係」とは、
・「職員からサポートを受ける利用者」
↓
「サポートをする側」
になったにもかかわらず、利用者に直接支援するわけではない。
ここに、自分の立ち位置って利用者とスタッフ一体どっちなの?という疑問が湧いて、戸惑いを感じているのも事実です。
実践的なスキル習得が自信を生む
しかし、悩んだ末に決断した、定着職員になるという選択。だからこそ半年間というこの期間は、一般就労後に「自走」するための重要な訓練だと捉えるようにしています。
そして、私は定着職員として「具体的な技術」との結びつきという、大きな収穫を得たと思っています。
こうした「自分にしかできない強み」を持つことは、環境が変わった将来にも、自らを支える大きな自信となると信じています。
「やりっぱなし」ではなく、支援の継続を
いつか一般企業の門をたたく日。その時も、やはり事業所の支援は重要だと、声を大にしてお伝えしておきたいのです。
例えば、職場体験などでその職場が自分に合うかを見極め、応募したら企業が採用可否を判断しますが、そのプロセスの中に事業所が入ることで、本人だけでは伝えにくい「配慮事項」や「本音」を企業側に届けることができるからです。
就職が決まったとしても、事業所の支援が「あとは自分で何とかしてください」と自然消滅するように消えてしまったら・・・。
新しい就業先で生じるコミュニケーションの摩擦や、体調の変化による不安もたった一人で立ち向かわなければならなくなります。それは、かなりの不安です。
確かに支援する側は、外部の人間として現場の奥深くまで入り込むことは難しいかもしれません。
しかし、事業所が企業と本人の間に立って、聞き取り役をするなどしてくれたら、どれだけありがたいか。そういった「中間役(ハブ)」として機能してくれる存在は、障がい者枠で働く者にとって、何物にも代えがたい「安心」の源なのです。
障害を持つ方々が安心して働き続けられるように、支援の継続をぜひお願いしたいところです。
三位一体の連携が「定着」のカギ
さらに、一般就労で定着を成功させるためには、以下の三つの体制が不可欠です。
本人: 困りごとがあれば、自ら言葉にして周囲に伝える努力。
企業: 障がい特性を理解し、適切な環境を整える歩み寄り。
支援機関: 両者の間に立ち、客観的な視点で調整を行う継続的なサポート。
この三者による連携が機能して初めて、就職は「一時的なイベント」ではなく、その後の「安定した人生」へとつながるのではないでしょうか。
まとめ
お伝えしてきたようにA型事業所の職員登用制度は、障害を持つ人たちのキャリア形成においてとても有効な手段です。しかし、それが成功するためには、事業所側が「労働力の確保」としてではなく、「利用者の人生の選択肢を広げるための支援」として、誠実に取り組む姿勢が求められるということもお話してきました。
私自身、半年間の限られた支援期間の中で、どこまでスキルを伸ばし、どのような形で一般就労へ結びつけられるのか。その決定権が自分にないもどかしさを感じることもあります。
しかし、いま私ができることは、
・「文章作成」に磨きをかけ、スタッフとしての資質を証明していく。
・就職した後も支援機関と連携しながら、自分らしく長く働き続けるための「仕組み」を作っていく。
そうして、自分自身の力で未来を切り拓いていこうと、心にかたく誓っています。
「元利用者だからこそ分かる痛み」を強みに変え、定着職員から現場のリーダーとして輝く。そんな好循環が生まれて初めて、A型事業所は、本当の意味で「利用者の可能性を広げる場」になるはずです。
≪文:ベルリン/T・S≫







